Air Free Concept

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日本一の“酷道”を走ってみた。(前編)

<エアフリーコンセプト>のインプレを行うには、さて、どこが良いか? まず気になるのは、なんと言っても、あの特殊形状樹脂スポークがどのくらい路面の衝撃を吸収してくれるか、だ。なだらかに舗装されたアスファルトなら問題はなくとも、例えば石畳のような細かな段差が続くところの乗り心地はどうなのだろう? そんな思いで面白そうな石畳の道を探していたところに出てきたのが“日本で唯一の石畳敷の国道”という情報。大阪と奈良の間にまたがる生駒山地を超えるための峠道である国道308号には、一部江戸時代から残る石畳区間が今も残っているそうだ。最新のタイヤ技術を江戸時代からの石畳で試すなんて、なかなかロマンティックでいいじゃないか。さらに調べてみると、国道ながら軽自動車が一台通れるか通れないかの細い道の区間が多く、日本最大の傾斜と言われる急坂などもあり、難所として有名な道らしい。”国道”ならぬ“酷道”と呼ばれ、マニアの間でもその名が知られている場所だった。酷道上等! いっそのこと<エアフリーコンセプト>で日本一酷い道に挑む企画にしてしまえ! と、そんな思いつきだけで酷道インプレを決行することに。

まず、出発はこの峠道への大阪側の最寄り駅である近鉄枚岡駅から。<エアフリーコンセプト>を体験してもらう約束をしていた澤 真俊さんと合流。中之島のインテリアショップにお勤めの自転車好き男子である。普段から通勤の足にロードバイクを愛用しており、しっかり乗り心地についてのインプレをしてくれるはずだ。 駅から石畳のある暗峠までは約2.5km。ちょうど国道308号の中間地点に位置する。駅から308号はわりとすぐで、“異常気象時 交通規制区間”という大きな看板が立っているためにすぐにわかった。

そこからは、およそ国道とは思えない狭い道で、車1台通るのが精一杯。しかも、急勾配の坂道が延々と続く。<ベガス>というギア比が重めなシティサイクルをベースとした<エアフリーコンセプト>には、やはりこの坂道は厳しかった。「これ、無理なやつですね」と数分でギブアップする澤さん。のっけから押して登るハメに。

途中には、修行者の禊のための滝があったりと秘境感ムンムンの山道。ひたすら、登る、登る、登る。しかも、普通の上り坂ではなく、激坂が延々と続くのだからたちが悪い。308号はなんと平均斜度が約20%もあるのだとか。「ふくらはぎがパンパン。肩も重くなってきましたよ。押してるだけなのに…」とこぼしながら修行者のような険しい表情で自転車を押し続ける。すると、しりとりでもやって気分を紛らわすくらいしか坂に抗う手段が無くなってしまった我々の目の前に、突如トドメのような絶望が舞い降りた。

「これ、もう壁…」と言葉を失う。現れたのは、激坂を超える超激坂。日本一急勾配の道として知られる斜度31%の坂だった。しかし、これまでの坂道鍛錬で悟りを開いたのか、この絶望の壁を前にしても、髭を撫でながらアルカイック・スマイルで悠然と壁へと向かう澤さん。な、なんか急に頼もしくなってない? この世のすべての煩悩から解き放たれたような顔してるけど! 坂には、車のスリップ跡が数多く刻まれており、日本一の激坂の業の深さをありありと物語っている。そんな日本最強王者に挑む澤さんをしばしリングサイドから観戦。自転車を押して登っているのか、ずり落ちないように自転車に必死にしがみついているのか、よくわからない光景だ。「押すというよりは、こうやってブレーキをかけた自転車を杖のように使って自分をひっぱり上げるようにしていくほうが楽なんですよ」と、眉間に深いシワを刻みながらも、しゃくとり虫のようにして見事に登っていく。ロードバイクで挑戦しているサイクリストともすれ違ったが、やはり力尽きて手で押していた。

さてさて、石畳まであとどのくらいの距離があるのやら…。 現時点でわかったことと言えば、インプレする道にはまったく適していなかった、ということだけだ。そんな状況でも「ヘアピンのような急カーブで車体を寝かせて曲がる時には、<エアフリーコンセプト>はタイヤのサイドがほとんどないから、ちょっと注意が必要ですよね」と、不屈のインプレ魂を見せてくれる澤さん。今日、ここに一人の目覚めし者が誕生した…。

後編へつづく

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